大判例

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東京高等裁判所 昭和44年(ラ)595号 決定

よつて、申立債権と執行費用の合計は金九二九、二一八円となり、供託額がこれをこえることは明かであり、供託書正本の提出は同法第五五〇条第四号の弁済証書の提出に準ずるものといわなければならない。

このように、競落許可決定に対し即時抗告の申立があり、同法第五五〇条第四号所定の証書に準ずるものが提出されたときは、抗告裁判所は、競落許可決定を取消し、さらに競落不許の裁判をすべきである。その理由はつぎのとおりである。

一、競売期日終了後から競落期日終了前までに同法第五五〇条第四号の証書が提出されたときは、同法第六七二条第一号の「執行ヲ続行スヘカラサルコト」の異議の理由あるものとして、同法第六七四条によつて、競落を許さない。これは最高価競買人の責務を永く不定の状態におくべきでないとする法意に出たものである(同法第六八四条)。同法第五五〇条第四号の証書が執行機関に提出されたときは、執行機関は、原則として執行手続をその提出時点において停止すべく、その手続を進めてはならないが、競売手続においては、競買の申出とその許否を出来る限り一体的に処理し、その間に執行停止のあるときは、換価手続を進めない処置として競落不許を言渡すべく、競落期日を開かないで競買申出のあつたままの状態を継続させる余地はない(なお、同法第五五一条第五五〇条第四号との関連においては、執行処分に該当するのは競落許可の換価処分であり、競売期日の指定・実施、競買申出の催告、競買申出等一連の行為は競落許可の前行手続であつて、独立の処分には該当しないし、競落不許の言渡があつた場合なお保持せしめられるのは、競売開始処分であり、殊に開始決定における不動産差押の宣言の効力である)。

二、つぎに、競落許可の言渡後、許可決定に対し、即時抗告がなされ民訴法第五五〇条第四号の裁判の正本が提出された場合には、右の即時抗告には(広義の)執行停止の効力があり、また、抗告は新な事実および証拠により得るものであるから、抗告裁判所は、同法第六八二条第三項第六七四条第六七二条第一号第五五〇条第四号により、競落許可決定を取消し競落不許可の裁判をしなければならない。この場合、競落許可決定の取消のみをし、競落不許可の裁判をしないままにおくのは、前項に説示した同法第六七四条の趣旨に反する。また、同法第五五〇条第四号の証書の提出が、換価処分である競落許可の後であることから、その状態で執行を停止すべきものとして、抗告を棄却するときは、競落許可決定は確定し、その後には満足の段階を残すのみとなり、競落人の競落不動産所有権の取得を阻止できなくなり、妥当でない。

(岩野 瀬戸 土肥原)

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